科学文明の起源 : 近代世界を生んだグローバルな科学の歴史
タイトル: 科学文明の起源 : 近代世界を生んだグローバルな科学の歴史
著者: ジェイムズ・ポスケット 著
出版社: 東洋経済新報社
発行日: 2023.12
価格: 3200円
紹介
ヨーロッパ中心の科学史を覆す!
科学革命は大陸を越えた文化交流と、古今東西の知られざる科学者のたゆまぬ努力によってもたらされた。
現代世界の見方を変える、かつてない視点で描く近代科学の発達史。
コペルニクスやガリレイ、ニュートン、ダーウィン、アインシュタインといった科学者の名前は、誰もが知っている。
そして、近代科学は16世紀から18世紀までにヨーロッパで誕生し、19世紀の進化論や20世紀の宇宙物理学も、ヨーロッパだけで築かれたとされている。
しかし、科学技術史が専門のウォーリック大学准教授、ジェイムズ・ポスケットによれば、このストーリーは「でっち上げ」であり、近代科学の発展にはアメリカやアジア、アフリカなど、世界中の人々が著しい貢献を果たしたという。
科学の未来は、グローバリゼーションとナショナリズムという2つの力の中間の道を見つけられるかどうかに懸かっている。
政治やイデオロギーによって書き換えられてしまった科学の歴史を明らかにし、科学発展のグローバルな過去をつまびらかにすることで、科学の未来について考えさせる書。
「国際的なつながりが、時代を超えて科学の進歩を刺激してきたことを説明する」
――アリス・ロバーツ(『人類20万年 遙かなる旅路』著者)
「近代科学がヨーロッパだけで発達したものではないことを、説得力をもって示してみせる」
――ジム・アル=カリーリ(『量子力学で生命の謎を解く』共著者)
「標準的な科学史ではその偉業が語られることのない科学者たちの物語を楽しく読める」
――イアン・スチュアート(『もっとも美しい対称性』著者)
目次
はしがきーー近代科学の起源
第1部 科学革命 1450年頃~1700年頃
第1章 新世界との出合い
1 新世界の博物学
2 アステカの医学
3 人類の発見
4 アメリカの地図を作る
5 まとめ
第2章 天文学の興隆
1 古代文書の翻訳
2 ルネサンス期ヨーロッパにおけるイスラム科学
3 オスマン帝国のルネサンス
4 アフリカの天文学者
5 北京の天文学
6 インドの天文台
7 まとめ
第2部 帝国と啓蒙 1650年頃~1800年頃
第3章 ニュートンの発見を導いたもの
1 ゴレ島での振り子の実験
2 インカの天文学
3 太平洋の航海者たち
4 ロシアにおけるニュートン科学
5 まとめ
第4章 経済のための博物学
1 奴隷制と植物学
2 東インドの自然史
3 中国の飲み物
4 江戸時代の日本における自然の研究
5 まとめ
第3部 資本主義と紛争 1790年頃~1914年
第5章 進化論と生存競争
1 アルゼンチンの化石ハンター
2 ロシア帝国の進化論
3 明治時代の日本と「生存競争」の概念
4 清朝中国における自然選択説
5 まとめ
第6章 ナショナリズムと国際主義
1 戦争とロシア帝国の科学
2 オスマン帝国の工学
3 植民地インドにおける科学と産業の発展
4 明治の日本の地震と原子
5 まとめ
第4部 イデオロギーと戦争の余波 1914年~2000年頃
第7章 政治の時代の物理学
1 革命後のロシアの物理学
2 中国におけるアインシュタインの相対論
3 日本の量子力学
4 物理学と帝国との闘い
5 まとめ
第8章 冷戦と遺伝学
1 メキシコにおける「緑の革命」とヒト遺伝学
2 独立後のインドにおける遺伝学の発展
3 毛沢東のもとでの共産主義的な遺伝学
4 イスラエルと集団遺伝学
5 まとめ
エピローグ 科学の未来
謝辞
原注
図版出典
口絵出典
索引